大航海時代、はるかな
インド洋を渡って
今では誰もが知っている「カステラ」ですが、その起源はきわめて古く、紀元前3世紀ごろ『ローマ帝国の穀倉』と呼ばれていたスペインで、その原形となったビスコチョという菓子がつくられたと言われています。
ビスコチョはスペインの修道院や尼僧院などでよくつくられ、古来慶事には欠かすことのできないとてもおめでたい菓子であったようです。
そして日本には今から約400年以上も昔、しばしば大河ドラマの名舞台ともなる戦国時代に、キリスト教などとともにヨーロッパからもたらされました。もたらされた品物の中には「種子島」とも呼ばれ、日本の天下統一を早めるきっかけともなった鉄砲を始め、ギヤマン、コップ、タバコ、カッパ、そして食べ物ではカステラ、コンペイトウ、ボーロなど、それまで日本人の知らなかった品物が数多く含まれていました。
「南蛮」とは中国漢民族から見た南の異民族の呼称でした。しかし当時の日本人がいう「南蛮」とはポルトガルやスペインなどの国のことを指しました。それは彼らヨーロッパ人の多くが、東南アジアを経由して日本へやってきたからです。正確には同じヨーロッパ人でも日本へ最初にやってきたポルトガルやスペインを「南蛮」、オランダやイギリスを「紅毛」といい区別していたようです。しかし渡来した品物や菓子、文化に関しては全て「南蛮渡来」という言い方が使われていました。つまり「南蛮渡来」とは今でいう直輸入、あこがれのヨーロッパインポートブランドだったのです。しかしこのインポートブランドは今のように百貨店やブティックに行けば誰でも買えるといったクラスのものではありませんでした。織田信長や豊臣秀吉、徳川家康など、歴史上に名を連ねる人物しか手に入れることのできなかった超貴重品だったのです。
このカステラですが、“カステラ”という呼び名は日本独自のもので、実は蛮語(外国語)ではありません。12世紀から15世紀頃にかけてヨーロッパに存在していた「カスチラ王国」から独立した、ポルトガルやイスパニアの異名からとったものと記されています。昔は「加須底羅」や「加寿天以羅」などと書いていたようです。当時の日本では、長崎の初代代官を務めた村山等安がカステラの製造方法を習得し、南蛮料理とともに豊臣秀吉に献上したといわれています。「カステラ」は戦国の大ロマンとともに生き、現在まで伝わっている菓子なのです。
南蛮菓子から和菓子へ
伝えられた当初は原材料を混ぜ合わせて蓋付の鍋に入れ火で焼くというものでした。その後時代の移り変わりに従って、炭釜からガス釜へ、さらに電気釜へと変わり、横浜文明堂ではさらに研究を重ね、現在は他では真似のできないただひとつの製法で「カステラ」を製造しています。
「カステラ」は、生まれた当時からふんわりと焼き上がるまでに1~2時間もかかるとても手のかかる貴重品だったのです。
カステラいちばん
今までも、そして
これからも
小麦粉と砂糖、卵を主原料に、磨き抜かれた職人の技が生み出す横浜文明堂のカステラ。南蛮菓子に着想を得てつくり上げられた「カステラ」の歴史は大変古いものですが、当時の味は現在のカステラとはまったく異なるものでした。
現在のカステラは、文明堂が永年に渡り研究を重ねてつくり上げた味の芸術品といえるでしょう。こうした研究と努力が多くの方々に評価され、本物を見分ける目安となっている「宮内省御用達」の栄誉を担うことになったのです。
しかし私たちはそれで満足しているわけではありません。つねにより美味しい本物の味づくりを追求し続けています。
創始の地「長崎」から、
発展の地「横浜」へ
その創始の地「長崎」から「横浜」へ、現在本店のある横浜伊勢佐木町に店を構えました。
そこから序々に展開を広げ、仔グマのダンスでおなじみのテレビコマーシャルや、様々なキャンペーンを行っています。また商品の販売網も直営店はもちろんデパートや量販店、最近では通信販売を行ったり、喫茶室等へと多角化しています。
横浜文明堂の沿革
- 明治33年
- 創業
長崎総本店開店 - 大正14年
- 宮内省御用達を賜る
- 昭和8年
- 設立
横浜店(横浜市中区伊勢佐木町)を開店 - 昭和23年
- 合資会社文明堂設立
- 昭和27年
- 桜木町に初の支店を開店
- 昭和29年
- 横浜松屋に出店
百貨店との取引開始 - 昭和33年
- 本部ビルに伊勢佐木町一丁目支店を開店
- 昭和39年
- 関内駅前支店を開店
横浜高島屋に出店 - 昭和44年
- 文明堂製菓株式会社設立
横浜本社工場開設 - 昭和45年
- 特約代理店との取引開始
- 昭和49年
- 量販店との取引開始
- 昭和52年
- 豊岡工場(現磐田工場)開設
東海地区への出店開始 - 昭和57年
- 株式会社文明堂設立(合資会社文明堂の業務を継承)
日吉駅前支店を開店
横浜本社工場第一期拡張 - 昭和58年
- 本部ビル改築
文明堂茶館ル・カフェを増設 - 昭和60年
- 横浜そごうに出店
- 昭和63年
- 豊岡工場(現磐田工場)が「優良施設静岡県知事表彰」を受ける
- 平成2年
- 名古屋営業所設立
名古屋新栄支店を開店
豊岡工場(現磐田工場)第一期拡張 - 平成3年
- 保土ケ谷駅ビル支店を開店
- 平成5年
- ランドマークプラザに出店
豊岡工場(現磐田工場)が「食品衛生優良施設厚生大臣表彰」を受ける - 平成7年
- 伊勢佐木町四丁目本店改装
- 平成10年
- 楽天市場(インターネットショッピングモール)に出店
- 平成11年
- 文明堂創業100周年